医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟

発足記念 第一回 シンポジウム 議事録

「真の公聴会!医療現場の生の声を直接国会議論へ!!」議事録

各提言者の提言部分のみ抜粋・それ以外の様子は動画をご覧下さい。

網塚 貴介氏
ありがとうございます。ただいま紹介いただきました、青森県立中央病院で総合周産期母子医療センター・ NICUを担当しております、網塚と申します。当院もですね、医師不足でして、現在は4人の医師で24時間態勢を敷いております。私自身も年に100 回近い当直を今、現在こなしている最中でございます。
 本日お話ししたいのは医師不足のことではなくて、NICUにおける看護体制に関してお話ししたいと思います。
 このスライドにですね、「だっこして飲ませて」と書いてありますけれども、赤ちゃんが哺乳瓶を自分で飲んでいる姿が写っていますが、これは、私たちは「一人飲み」と呼んでおります。今、新生児医療の現場では、看護師さんた ちがあまりにも多忙でですね、全国のNICUの過半数の施設で、未熟児の授乳時にだっこして授乳させることができないほど多忙であることがある状況にあります。この原因は、一人の夜勤看護師さんが、受け持つ新生児数に制限がないために、大勢の新生児を受け持たざるを得ない、そのことが許されている、体制の不備にあると考えております。
 ここで、NICUにおける看護体制に関して、ちょっとご説明したいと思います。今日は、プリントを用意してきていますので、お手持ちの方はご覧になっていただければと思います。
 NICUは大きくふたつのセクションから構成されてます。一つはほんとの重症の患者さんを扱うNICU、これは看護師さん1人当たり患者さん3人までというふうに定められていますけれども、もう一つは回復期病床といいまして、NICUで治療を終えて軽症になった赤ちゃんを扱う病床です。こちらは成人と同様病床扱いとなっています。ここで問題なのはこの病床のほうなんですけれども、これは一般病床扱いなので、看護師さんが何人まで赤ちゃんを受け持って良いという基準がありません。このため全国平均でこの回復期病床で、夜勤看護師一人当たりが受け持つ患者さんの数が、910人とい われています。中にはですね、一人で15人から20人受け持っても良いということになっている、認められている病院もあります。
 回復期病床で扱う患者さんがですね、しかもこのような赤ちゃんに、元気な赤ちゃん、あと大きくなるだけの赤ちゃんならまだ良いんですけれども、実際には人工呼吸管理中であったり、保育器、点滴、酸素投与など、いろんなケアを有する赤ちゃんが収容されています。これはNICUのベッドが足りないものですから、 本来ならもっと手篤い治療を受けなければならない赤ちゃんが新規の患者さんが入ってくると、その治療途中で無理やりその回復期病床に押し出されてしまいますので、このような重症児を扱わなければならなくなっています。このような状態でも、制度上は認められていますけれども、これはどう考えても、常識で考えてもこれは、安全、この状態で安全に看護することは出来ないってことは、皆さんもお感じになられるのではないかと思います。このような悲惨な状況ではですね、そこに勤務するものにとっては多忙ということになりますけれども、これは赤ちゃんの側に立つと、これは明らかにケアの劣化を招いており、リスクが上昇しています。
 看護師さんたちの多忙さを証明するというのはなかなか難しいんですけれども、この「一人飲み」というのが看護師さんの多忙さの象徴という風に捉えて頂ければいいと思います。それでは何故このような状況になってしまうのかというと、これは同じく赤ちゃんを扱う保育所と比べてみるとわかりやすいと思います。 保育所では児童福祉法最低基準によって乳児の場合保育士さんが扱う乳児の数が3人までと定められています。ところがNICUではこのようなことは全く、回復期病床には定められていません。
 また一方で働く者の側からいうと、過去には十数人の赤ちゃんを受け持っている看護師さんがうつぶせ寝をしていて、赤ちゃんが突然死したんですけれども、それで有罪になってるケースがあります。
 このような制度の不備はですね、赤ちゃんだけではなく、働く側にとってもリスクを負わせているといえると思います。このような悲惨な事態を引き起こしてしまっている全ての元凶は、児童福祉法に相当する新生児を保護するべき法律が病院に入院している新生児に対して存在しないことにあると思います。この対策として、まず医療の中において新生児は新生児と認められて、現行の成人と同様の看護態勢を抜本的に見直して、入院中の新生児であると法的拘束力を持たれるようなそういった改革が必要であると思います。
 このようなですね、哺乳をさせられていても赤ちゃんとしては何も言えません。今日この私の発言をですね、全国に今、この時に入院している赤ちゃんたちの声なき声というふうに考えていただければ嬉しいと思います。以上です。

司会
はい、ありがとうございました。それでは引き続きまして日本救急医学界理事でいらっしゃいます、昭和大学病院副院長でもあられます、有賀様、よろしくお願い申し上げます。
 
有賀 徹氏
では、今ご紹介いただきましたように、救急医療の立場で、少しご説明を申し上げたいと思います。

既にここにご参集の一般の方たちも、マスメディアなどの報道によって知っておられると思いますが、いわゆる「たらい回し」とか、または行く病院が無くて困ってしまうという、救急隊は困っているという話があります。救急隊が困っているという話は、救急隊は業務として困ってるのでしょうが、ほんとに困るのは患者さんたちです。で、そういうふうな状況で、何故救急隊が立ち往生するのかというようなことについては、大きくいって3つ原因がございます。

一つは該当する患者さんを連れて行こうというその病院で現在、例えば手術中だとかですね、先程来た患者の処置をしているとか、そういうようなことで処置中というのが一つ目。

もう一つはですね、該当する病院に行こうと思っても、その病院が既に患者さんが、目一杯入っていて、僕らの言葉では「ベッド満床」という言葉を使いますが、受けようにも入院させられないと、そういうようなことのために受けられません、というのが二つ目ありますね。

三つ目は少し深刻ですが、その患者さんは連れてきていただいても多分手に負えないので、という、いわゆる処置困難というものであります。

3つ言いましたので、一つずつお話ししますが、処置中というか現在手が回せないと、手一杯であるという話は、これは基本的に需要と供給のアンバランスというものによります。患者さんがいるにもかかわらず、病院のほうが医療を供給できない、まあ考えてみれば当たり前のような話でして、救急搬送は刻々増えています。お年を召した方が増えてる分だけどんどんどんどん増えてますが、数そのものが増えてない、ということがおわかりいただけると思います。

ベッド満床ということの話はですね、じゃあ病院がいっぱい出来ればいいのか?確かに病院が出来ればいいのかもしれません。ただ、病院が出来て、その病院がいっぱいになるまでは何とかなるかもしれませんが、実はその次に行く病院がなければやはり急性期病院ではベッドがぱんぱんの状態でずーっといると。つまりどういう事かというと、何人かの患者さんがもし急性期病院に入れば、同じ数の患者さんが次の、例えばリハビリテーションだとか別の、慢性期の病棟へ動いていく、というそういう患者の流れがそもそも無いと救急医療は成り立たないわけですね。ですから、流入する患者さんの数と、それから急性期病院、または回復期リハビリテーション病院、またはその後の長期療養病院へのフローアウトというかですね、患者さんの流れがなけりゃいけない。ですから、救急医療のベッ ド満床という状況については、地域医療について包括的に全体を見た時の医療そのものが実は足りない、というようなことを言ってるわけであります。

三つ目のですね、処置困難であるという、手に負えないという話はですね、これは、患者さんたちから見て、たとえば「専門のドクターに診ていただかないと嫌だ」とかですね、「専門のドクターでなかったから結局上手く治らなかったんじゃないか、訴えてやる」というふうな話とですね、実は表裏一体の面がございます。従って、自分は整形外科で一生懸命当直しとると、それで、中に心筋梗塞が入ってくると怖いな、とかですね、内科で勉強してきたんで外傷は勘弁して欲しい、とか外科の先生方の中でも脳外傷とか脳卒中とか、脳神経外科的なことに関してはやはり診れないから勘弁して欲しいとか、そういうふうなことが起こるわけですね。

3つ目についてはそこそこ上手に工夫の余地はあるのかもしれませんが、いずれにせよ処置中とかですね、ベッドが満床であるというふうな相対的な供給不足の状況で、今お話あったように4人の先生が四六時中病棟でがんばるというふうなことがあると、ドクターたちは、勤務医としてはやってけないという話になりますので、ある地域の病院で、例えば内科の先生が辞めてしまうと、そうするとそこの内科、または小児科にどーんと患者さんが来てしまうと、そうするとその病院が次に内科、小児科が撤退すると。そうするとまた同じ地域の別の病院に患者は行くんですよね。救急隊も行きます。そうするとそこの病院では2 割増、3割増の救急患者さんたちによって、数によって潰れていくと。そうやってドミノ現象的にですね、その地域から急性期病院が無くなっていくと、これがいわゆる地域における急性期医療の危機、または崩壊の実態ということになります。

今、救急隊が困っているというような原因から救急医療の問題を申し上げましたけれども、多くの背景に存在する問題というものはたくさんございますので、今日は場合によってはそんなことを勉強して、議論していきたいと思います。以上です。

司会
ありがとうございました。それではですね、NPO法人がん患者団体支援機構副理事長、そしてNPO法人ブーゲンビリア副理事長でいらっしゃいます、内田様よろしくお願い致しします。
 
内田 絵子氏
皆さんこんにちは。会場の皆さんにお尋ねしたいのですが、このなかで医療提供者の方、挙手いただけますでしょうか?・・・ありがとうございます。患者の皆様、挙手いただけますでしょうか?・・・ありがとうございます。国を挙げて、医療現場の生の声を直接国会議論へ、という非常に大事なシンポジウムで、やはり医療提供者と患者が半々という事が原則のように思いますので、医療提供者が圧倒的に多いというのは、患者不在の現象を表しています。次回はそういう視点で取組んで頂きたいと思います。

私が提言したい事はですね。いい医療とは何か。患者が何を求めているかといいますと「医療の安全と医療の質」です。

安心して医療を受けたい!! 満足のいく、納得のいく選択をしたい!! それにはどうしたらいいのでしょうか? 医療の質を上げていくのにはどうしたらいいのでしょうか?患者の視点からの提言をします。
@病院情報や医療情報を開示してほしいという事です。これは都合の悪い情報もあるかもしれませんが、開示してみんなでかんがえていきましょう。
A医療事故を解決するための受け皿を作るという事です。現在行われていますが、ヒヤリハット情報を収集、解析、原因究明をはかる態勢つくり、ADRなどの取り組みの充実が必要ではないかと思います。さらに死因がはっきりしないケース等も積極的に取り組んで再発予防に役立てて欲しいと思います。
B本日のような医療提供者、政策立案者、医療メディア、患者らの各ステークホルダーのコラボレーションというのが必要だと思います。官民の市民フォーラムを継続的に開催し、お互い風通しの良い意見交流会をすることが誤解をふせぎ、より良い医療閑居を目指すことになると思います。
「がんが変われば医療が変わる」と言われていますが、その成功例を申し上げたいと思います。私が「東京都がん対策推進協議会」の患者委員をさせていただいた体験から感じた事です。民主党さん、自民党さん、尾辻先生、山本議員はじめ皆様のお力で「がん対策基本法」ができました。日本初の議員立法です。また、私たち患者は市民立法だと誇らしく思っております。今後、医療再生の道を考えたとき、このがん対策基本法の成功例を具体的に真似たらよいと思います。
@まず「医療基本法」を作ります。(がん対策基本法の成功例から同じように考えます)
A医療受益者である患者・市民が「医療基本法」策定に参画します。(国、地域の協議会のように)
今まで、医療を受ける受益者の患者が参画していないのでは、正しい医療環境とはいえないのではないかと思います。今、医療再生を図るには、国がグランドデザインを国民にはっきりと示し、共にグランドデザインも考えていくことが重要です。医療再生の問題を考えるときは「負担と給付」がキーワードだと思います。負担と給付について、後ほど発言させていただきます。

司会
はい、ありがとうございました。それではですね、日本医師会常任理事でいらっしゃいます、内田様お願い申し上げます。
 
内田 健夫氏
はい、医師会の内田でございます。今日は各論の話は各先生方、お見えになっておりますのでわたくしは総論的なことからお話させていただきます。
が国の医療水準というのは世界最高の水準というのは誰しもが認めるところですけれども、しかしながら医療費というのは先進諸国の中でも最低レベルであると いうことでございます。これは、何で支えられているかといいますと、やはり国民皆保険制度、それから各種検診や予防接種、学校医といったところの徹底、 で、一番大事なのは医療従事者がこれまで献身的に努力をしてきたと、それを支えていたということがいえるんではないかと思います。
しかしながらい まや日本の医療は崩壊の危機といわれていますが、その最大の原因はやはり、極端な財政優先による医療費の削減、というところに尽きるというふうに思いま す。たらいまわしの救急医療の現場であるとか、分娩がなかなか予約が取れない、妊婦さんの悲鳴であるとか、自宅に帰れないのに退院を急かされて、それでも 転院先が無くて、行き場がなくなっている高齢者とか、そういう現象は、昔から確かにありましたけれども、まだ以前は、経済的にも精神的にも医療現場には余 裕があった。それが最近、この医療費削減の流れの中でですね、非常に余裕がなくなってきた。なおかつ、医師・患者さんの意識の隔たりというのも、非常に医 師を精神的に追い詰めているのではないか というふうに思います。
医師不足といわれているのは産科、小児科、麻酔科、救急、そして近い将来は外科、おそらく将来的には内科を含めたすべての診療科に通じてくるというふうに思っています。これらの、今申し上げたような科はですね、やはり精神的にも肉体的にも非常に過酷であるということです。
療の現場は常に危険と隣りあわせで、がんばっても報われない結果になるということはしばしばありますけれども、これまでは、がんばってきましたし、志を 持って医療に携わってきた先生方が多かったんです。しかし、いまや、助からないときにですね、それを責めるという風潮が出てきました。以前は、たとえ助か らなくてもがんばってくれてありがとうという気持ちが示されて、医師もさらに学習し、向上しようという意欲が持てたんですけれども、そういう関係がなく なってきた、ということが非常に危機的な状況にあると思います。
国民の安全には、必要なときに必要な医療が受けられるということが大前提です。そ のための制度と、その実現に必要な対策ということで、まず第一には、かかりたい医療機関に医師が確保される、つまり医師不足対策をするということです。日 本の医師の数は先進諸国の約3分の2といわれていります。まず一定程度 医師を増やすことが必要ですし、同時に地域や診療科の偏在、また病院と診療所の偏在に適切な対策を講じることが重要だというふうに思います。
ずれにしましても、医師が増えてもですね、今病院にその増えた医師を雇うだけの余力もない、という状況ですから医療費もやはり増やさないといけない。なん とか先進諸国と同じ程度になる、同じ数字になる。現状から10%程度の医療費を上げるということが必要ではないかと思いますが、財界や財務省は いまだに社会保障費を削減しろと、いうことを声高に言っております。これは日本の医療を破壊することにつながるというふうに思います。
2には、誰もがお金の心配をせずに充分な医療が受けられる、そのためには皆保険制度を堅持することと、これ以上の国民の負担を増やさないということだと思います。今負担についてもかなり差が出て、格差が出てきている、というふうに感じます。
保険制度というのは助け合いの精神です。明日はわが身という気持ちを共有して、維持していくべき制度ではないでしょうか。アメリカの民間保険は、保険会社 がだいたい保険料の3割くらいを経費として取っています。日本に単純にこの制度を導入しますと、今と同じレベルの医療を維持するのに、3割負担が増えると いう話になります。保険会社や医療機関が利益を追求するようなシステムを導入するということは、避けるべきではないでしょうか。
もう一つは、医 師・患者の関係が改善することです。これは、いままでの「お任せ医療」からインフォームドコンセントの重視というのが行われましたが、これが極端になっ て、逆に患者さんの医療に対する過大な期待や要求、権利の主張というのが生まれてきました。その結果、現場の医師は非常に書類作成とか説明に追われるとい う状況になっていますし、また、医療を萎縮させるという弊害がもたらされたというふうに思います。良い医療には医師と患者の信頼関係が不可欠ではないかと いうふうに思います。
最後に医師会としましては、医師会は、病院の院長のほとんどが加入されていますし、また勤務医が約半分を占めています。検診 や学校医、小児、高齢者に対する予防接種や健康診断など地域の医師の協力無しには成り立ちませんし、また病院が後ろにあるということで安心して診療ができ るということもありますので、病院の医師の負担軽減で医師会の先生方に協力することはこれからも前向きにどんどんやっていきたいというふうに思っていま す。現状でも、そういう働きをしているというふうに考えています。
これからは、国民も医療関係者もマスコミも政治もですね全ての方が協力してこの医療崩壊を食い止めなくてはいけないというふうに考えております。

司会
はい、ありがとうございました。それでは、山形大学医学部長でいらっしゃいます、嘉山様よろしくお願いいたします。
 
嘉山 孝正氏
 山形大学医学部長の嘉山でございます。今日はたぶん私の立場は、大学の医学部ということと、あとは脳外科という、脳卒中を扱っている科の2つのことで、だとおもいますが。まず今、内田先生が仰ったんですが、大きな目で見ることを一つお話して、その次に第3次試案の事故調についてお話しさせて頂きます。
 今内田先生が仰った様にですね、日本の医療のグランドデザインは、1980年台に「医療費亡国論」というのがありまして、実はそれは日本の活力を衰えさせるとかそういう、非常にエッセイ的な発想だったんですけど、実はヨーロッパでは福祉と教育に十分なお金をかけない国は滅びるというような考えがありまして、きちんとかけています。しかし、日本は現在、医療費がOECDの国の中で、つまり先進国の中で22位です。
 ここに今日、皆様にお配りしました資料の中に書いてありますように、WHOが公的に先ほど内田(絵子)様がクオリティ、医療の安全とクオリティが欲しいというようなことを仰ったのですが、これが最新のですね、日本の医療の評価です。第3者評価、WHOですから最も権威がある評価ですが、日本はオバーオールで、世界1位です。医療レベルも世界1位です。一方、良いと言われているアメリカは24位で、医療レベルが24位でオーバーオールでも15位であると。従って、皆さんに情報がきちんと伝わっていないために一番不幸なことは、患者さん側と医療側の不信感が募りあってお互いが不幸になっている、ということだと思います。
 この世界一手間をかけている医療をやっている、そしてお金がないとこでやっているわけですから、有賀先生から始まったいろんな問題がですね、現場の医師が非常に疲弊しているというのは当然のことである、というふうにお考えになっていただきたいと思います。
 さらにこの資料のWHOのレポートの次のページに書いてありますように、医師だけではございません。看護師も同じ300ベッドで620人対85人、さらに賃金も少ないと、 つまり医療にお金をかけないで日本はここまでやってきたんですが、今限界にきているということをはっきりと皆さんは数字として認識していただきたいと思います。 
 次は、事故調のことについてですが、先ほど患者さん側代表の内田さんが仰いましたが、安全な医療と質を求めるという、この二つにはやはりお金と人間が必要でございます。我々としてはですね、全国医学長病院長会議としては、事故の調査に関しては数年前からきちんとした、組織立った調査をやっております。患者さんのために情報を開示するのは当たり前でありますし、国立大学では実際に全国の80の付属病院では、もはややっております。
 あと、事故の調査だけではなくて本来は患者さんを救済するような、米国の医師会が1995年に作りましたNational Patient Safety Foundation、NPSFですね、こういうふうな経済的な面も負担することを、国か医師会がやっていただければというふうに考えております。但し現時点では、まだこの第3次試案も今日厚生省とディスカッションしてまいりましたが、現場にこれをもってきたときに、地方で調査チームを本当にやったときに実現可能なのか、というところが、財政的な裏づけも無くこれをやった場合には患者さんを診ているよりは事故の調査をしているほうが多くなるような現状が起きる可能性もある、そのときに誰がいったい責任を取れるのか、という事に非常に危惧を持っております。
 そういった、厚生省案ではですね、患者さんを救うといいながら実は、結局は患者さんに結果、返っていかないような仕組みを作っていると考えます。厚生省の方々には、より良いほうに直していただけたらというふうに考えます。
 現在やはり、一番今大事なことは、正しい情報を国民の皆さんと特に国会議員の先生方すら分からないってところがありますので、その情報を共有しつつですね、 そして日本の医療をいったいどのレベルまで持っていって、どこまで供給するのかを国民の合意を得なければならない時代じゃないかと思います。そしてあと、こういった裁判によらない、患者さんと医療側の信頼関係を構築するADRというような組織を早く構築する必要がある、というふうに考えております。以上です。

司会
はい、ありがとうございました。それではですね、長崎県から来て頂きました、内科医であります黒川様宜しくお願いいたします。

黒川 衛氏
全国医師連盟準備委員会の黒川衛です。患者さんを助けようとしている医師は助けてください。患者さんを救おうとしている医師を救ってください。このまま、医療費の抑制が続き、診療環境が改善されないならば、必ず医療崩壊が起きます。もう、既に起きています。今の医療行政は、医療制度偽装だと思っています。医師配置基準は無視されています。医師の労働基準法違反は放置されています。医師の時間外労働の賃金はその大半が支払われていません。病院勤務医は連続32時間労働を月に3回以上無理強いされています。勤務医の平均労働時間は過労死労災認定基準をはるかに超えています。

このような、医療体制で、国民の命が守れるでしょうか?そして、診療の結果が悪ければ、逮捕という異常な事態が生じています。長時間の医療労働、医師技術料の抑制、診療所の赤字経営、閉院、廃院、医師バッシング、偏向報道、不当逮捕、不当判決が続出しています。医師不足の中で、現場の医師達の士気を奪う事態が相次いでいるのです。現場に残っている医師達が、誇りを持って医療に携われるようにすること、これを抜きにして、医療の再生は不可能なのです。

医療崩壊を防ぐためには、困難な症例の診療を行い、真摯に救命活動、診療をしている医師を法的に守ってください。医療費抑制政策を改めて、せめて他の先進国並みの適正な医療費を確保してください。人員不足の医療従事者に鞭を打つことは、止めて、医療現場を守ってください。

病院を元気にすれば、驚くほどの雇用が確保できます。医師が雑用から解放され医療に専念できれば、心のゆとりが出来て、患者さんの痛みや苦しみをもっと深く共感することが出来ます。医学医療立国を実現すれば、諸外国から患者さんが来たり、

医薬品医療関連企業も日本に学びに来るかもしれません。医療費は決して無駄金ではありません。医療は国民と、更に国を元気にすることが出来るのです。

具体的な提言、提起です。超党派議連の皆さんは、議員立法を真剣に考えてください。議員立法の内容は、二つです。医師に限らず、救命活動を行っている人への刑事免責を確立してください。損害賠償に変えて、無過失保障制度、あるいは患者家族救済制度を国は設立して下さい。この救命活動時の刑事免責と患者家族救済制度のセットによって悲しみのさなかにいる患者家族は救済され、患者を救おうとする医師も救済されます。それから、先進国並みの適正な医療費を確保し診療点数などにも反映させてください。医師の長時間労働を放置せず、取り締まってください。

一つ、救命活動時の刑事免責。二つ、患者家族救済制度の国による設立。三つ、先進国並みの医療費、診療報酬の増額。四つ、長時間労働を放置する病院を取り締まる。この四点を実行すれば医療崩壊のスピードは弱まります。以上です。

司会
はい、ありがとうございました。それではですね、都立府中病院の産婦人科部長でいらっしゃいます、東京医科歯科大学の臨床教授もしていらっしゃいます、桑江様、よろしくお願いいたします。

桑江 千鶴子氏
宜しくお願いいたします。都立府中病院産婦人科の桑江と申します。頂いた時間をオーバーしてしまうかと思いますが、ご容赦ください。

産科医療が崩壊の危機に瀕している原因とその打開を図るための方策、特に男女共同参画社会の実現が不可欠であるという背景について、病院勤務医、特に女性医師の立場よりご説明したいと思います。

 古来お産は危険な営みで、ユニセフの統計によりますと、世界の平均では10万のお産に対して400人のお母さんが亡くなります。これは250人に一人がお産で命を落とすという割合でありまして、まったく医療介入のないアフガニスタンでは1900人つまり53人に1人がお産で亡くなり、ヨーロッパでも24人の母体死亡があります。それに引きかえ我が国ではそれが5人という少なさで、日本は世界で最も安全にお産ができる国の一つです。交通事故で亡くなる人とほぼ同じ率ですが、しかしゼロの国はありません。

 日本のこの50年間の変化として分娩数は半分になり、母体死亡は80分の1に、生まれた赤ちゃんが死ぬ割合は40分の1になりました。それでは産科医も半分で良いかと言うと、それは無理です。何故かというとハイリスク分娩が増えており、手がかかるお産が増えているからです。早産も増えていますが超早産、つまり妊娠月齢6とか7ヶ月とかで産まれてしまう率は約2倍になり、産まれた時が体重が小さい赤ちゃんが増えていますが、特に1000g以下の超低出生体重児は約30倍に増えており、NICU に長くとどまるため、NICUの受け入れが困難となる原因の一つになっています。35歳以上の高齢出産も約2倍に増えています。人工妊娠中絶は減ってはいますが、約30万件あります。

 しかしここ10年間でお産を取り扱う施設は、出生数が約8%しか減っていないのに32%も減少しています。特にここ12年の減り方は加速度的です。今年も首都圏のような医者が多いと思われているところでも、基幹病院がどんどん撤退しており、地方では例えば静岡県は45%減り、約半分になってしまいました。医師数は全体的には増加していますが、それでもご存知の通り、OECDの平均には遥か及ばないとしても、一人産婦人科だけが減り続けております。平均で年に180人くらいづつ産婦人科医が減っています。分娩施設同様最近加速度的です。それにつれて医師一人当たり取り扱わなければならないお産の数は急激に増えており、想像して頂けばお分かりの通り、1年間に1人で取り扱うお産の数はそう増やせるわけではありませんから、各地で産科医療崩壊が実感される事態となっています。

 医師国家試験に合格するうち、女性は33%約3分の1ですが、産婦人科で特徴的な事は

若い世代で女性医師が多いことで、20代で70%以上、30代では50%以上が女性医師です。スライドの右の上段が、横軸が年齢で縦軸が人数です。若い年齢で、赤い線、つまり女性が多くなっています。小児科・麻酔科・眼科なども女性医師は多いですが、50%くらいです。産婦人科は飛びぬけて多く、しかしせっかく産婦人科になってくれた彼女達の約半数は10年経つとお産の取扱いをしていません。また昨年専門医を取得した医師約330人のうち5年後に非常勤やパート勤務を希望する人が約3分の1います。つまり単純に計算すると、今でも毎年新たに産婦人科をめざす人は減っているところへ毎年約180人は産婦人科を辞ており、しかも7割を占める女性医師の半数が分娩をやめるということになれば、今後5年ないし10年では絶対的に医師が不足し、産科医療は崩壊いたします。

 どうしてこんなに産婦人科医はなり手がいなく、せっかくなっても辞めていくのか。大きな問題は2つあると考えられます。1つは24時間365日お産は切れ目なく生まれるのに、昼間だけ働くと仮定した旧態依然とした病院の医師定数があり、連続36時間以上もの長時間労働を緊張を強いられながらやらざるを得ず、しかも低賃金です。多くの病院は赤字経営であり、医師数や給与を増やせません。こういった劣悪な労働環境の問題があります。   2つ目は医療訴訟です。こちらの方が現場としては問題が大きいとも考えられます。長時間労働・低賃金には耐えられても、全力を尽くしてやった医療行為の結果、福島県立大野病院の加藤先生のように、衆目の中で手錠をかけられ逮捕連行されるという事実が、産婦人科医の心をうち砕いております。亡くなられた方には心よりお悔やみ申し上げますが、私達はこのような状況で現場にとどまることはもはやできません。

例えば前置胎盤と言う病気があります。子宮の入り口を胎盤がふさいでしまい帝王切開でしか、お母さんと赤ちゃんの命を救うことはできませんし、手術も大量出血する危険のある大変難しいものです。陣痛が来ると胎盤がはがれ出して、一瞬のうちに水道の蛇口をひねったように血が噴き出してきて、文字通り1分1秒を争う手術となってしまいます。輸血もすぐには来ませんので、設備や人手のある大学病院ですら、母体死亡の例があります。少し陣痛が起きかけると私達の間では「警告出血」と呼んでいる少量の出血がおきます。これがあったらすぐ帝王切開をするように、先輩たちからきつく言われている状況ですが、妊娠34週でこの警告出血があったので帝王切開をした医師が、たまたま生まれた赤ちゃんに障害があったとうことで、帝王切開をするのが早すぎたと、最高裁まで争って負けて高額の賠償金を支払わせられました。

こんな不当な判決の例はいくらでもあります。赤ちゃんが浮かんでいる羊水と言うお水はお産の時にお母さんの血液中に入ると、血管の中で血液が固まってしまい、出血すると血が止まりにくくなったり、血の塊が体中の臓器に詰まって死んでしまう羊水塞栓・DICという非常に恐ろしい病気になりますが、これは全く正常の経過をとっている妊娠分娩でも起こり、しかも最近増えており、母体死亡の大きな原因です。しかもあっという間に起こり、あっという間に死んでしまいます。ですが、この病気で亡くなった場合「輸血が遅かった」「高次施設への搬送が遅かった」と裁判で負け続けています。このような判例が産婦人科医の心を完全に打ちのめしております。しかも、現在お産を取り扱う施設の46%は医師が一人しかいません。3人以下の施設が84%です。4人以上いる施設、4人でも少ないですが、16%しかありません。4人でも1か月に7日以上当直しなければなりません。当然当直明けの次の日は通常勤務をします。過酷勤務ですが、そこでどうやってこういう症例をやれというのですか。スウェーデンは例えば人口800数十万で、お産は10万位ですが、お産はすべて病院でする仕組みになっています。しかし母体死亡率は日本と同じくらいか日本より高いです。すべて病院でお産をしても母体死亡はゼロにはなりません。

日本の司法は医療行為の結果として悪いことが起きると、すべて医療にミスがあっただろうと考える国民感情に配慮し過ぎています。警察司法は医療事故があった時にミスがあっただろうと犯人探しをしますが、我々医者の仕事は、ある意味患者さんを傷つけることが仕事です。外科系はメスで、内科系は副作用がある薬という手段を使って、しかし放っておけば死んだり、生活に支障が起きる病気と闘っております。人間の体は自然そのものなので、人間の貧弱な知識の及ぶものではありません。自然を相手にしているのと同じことで、治せる病気はむしろ少ないかもしれません。医療側がミスをしなければ、すべての病気が治り、母体死亡はゼロになる訳ではありません。ゼロにできないからと言って衆目の眼前で逮捕され、拘留されなければならないのでしょうか。そんな危険な仕事につき、自分の生活や人生、家族を犠牲にして働き続けることを選択する人が少ないからといって、また現場を立ち去る医師に対して、私は責める気持ちにはなれません。もし福島県立大野病院の裁判で医療側が負けた場合には、私個人としては抗議の意味も含めて、うちの病院の分娩取扱いをやめるか、あるいは安全な分娩ができるであろう数まで、分娩を制限せざるを得ないと考えています。加藤先生は御自分の初めてのお子様の出産にも立ち会えませんでした。大変さぞ無念だったと思われます。これは何年も前に起きた事件であるのに、わざわざその時期に逮捕された、というそういったうわさも飛び交う程でした。これが事実無根であれば良いのですが、もしそうでなければ、その非人間的な扱いには怒りを禁じえません。医療者を刑事事件で裁くのは日本だけだと聞いております。故意に傷つけたり死亡させようと思って仕事をするとは思えません。体制やヒューマンエラーによる事が多いわけで、故意あるいは犯罪とは一線を画すべきでしょうし、我々も医学の進歩や自らの研鑚に努めるべきだとは思いますが、特に産科ではそれ以前の状況であります。

女性医師の話をさせて頂きます。私も2人の子供を持ちながら働いてきた身として思うのは、子供を産み育てながら働く女性へのまなざしの冷たさです。日本の男性が家事に費やす時間は、いわゆる共働きで25分、専業主婦の妻がいる人は32分とむしろ共働きの方が短いです。国際的な女性の地位を表すジェンダーエンパワーメントメジャーはここ20年間先進国の中では最下位ですし、OECD諸国の中でも40位前後と大変低いです。2005年に38位だったのが、翌年には43位に落ちてしまいました。ただ、総選挙があって女性議員が少し増えたために、猪口前少子化担当大臣の講演のエピソードをお借りすれば「おめでとう、タンザニアを抜きました。」と言われて42位になったということです。

医療界に目を転じてみれば、たとえば日本医師会の常任理事その他最高意思決定機関には女性は0%ですし、日本産科婦人科学会でも学会員の意思決定をする総会の代議員は、369名中7名とわずか19%、理事会その他すべて合わせても3%前後です。20年後には今7割を占める20代の女性学会員が40代となり、学会を背負って立って行ってもらわなければなりませんが、その時にはどうなっているのか、はなはだ心配です。今のままではロールモデルとして、継続して働いている医者は少なく困難だと考えられます。2020年までに意志決定機関への女性の登用を30%にすると言う政府目標は、すごく遠い目標に感じられますが、少なくとも産婦人科においては、少しでも女性医師が現場に踏みとどまってくれるよう努力しなければ、明日が見えない状況です。妊娠・出産・授乳までは確かに女性特有の事ではありますが、育児から後は夫婦あるいは社会的な仕事だと思います。ですので、産休の期間は休んでもらうとしても、その前後に関しては男性医師となんら変わらない、つまり女性医師の問題ではなく、これは全体の労働環境整備の問題と全く変わるところはありません。子供を産み育て、将来の日本を担って行く世代を育てること以上に大切な事は、社会としてはありません。産科医療におきましても、女性医師問題はすべての事の試金石だと思い、ピンチをチャンスに変えるべく、私達は闘っていきたいと思っております。

提言はスライドの如くです。御静聴ありがとうございました。  

司会
はい、ありがとうございました。それでは、引き続きまして、「兵庫県立柏原病院の小児科を守る会」の丹生様、よろしくお願いします。
 
丹生 裕子氏
みなさんこんばんは。兵庫県丹波市から来ました、「県立柏原病院の小児科を守る会」です。私たち守る会は、昨年の4月に発足しました。活動をはじめたきっかけは、昨年の4月に市内の唯一子供の入院を受け付けている、柏原病院の小児科が無くなる事態を迎えたからです。これ以上の負担に耐えられないと、小児科のお医者さんが辞意を洩らされました。小児科の存続が危うくなったことで、産婦人科の分娩予約の受け付けを休止されました。
 このままでは小児科も産科も失ってしまう、そのような危機感に駆られ、私たちは活動をはじめました。
 安心して子供を産み、そして育てることの出来る地域であって欲しい、これは親なら誰でも持つ願いです。その願いを叶えるには、お医者さんの力が不可欠です。子供を守るためには、お医者さんを大切にすること、お医者さんを守ることが必要だということに気付きました。

子供を守りたい、そしてお医者さんを守りたい、これが、私たちの活動の原点でした。
 この想いを3つのスローガンに込めて活動を続けています。3つのスローガンとは、コンビニ受診を控えよう、かかりつけ医を持とう、そしてお医者さんへ感謝の気持ちを伝えようということです。
 このスローガンを地域の住民に呼びかけるために、このようなマグネットステッカーを作成しました。ステッカーには、「子供を守ろう、お医者さんを守ろう」と書かれています。
 また、住民に地域医療の現状を知らせ、住民として何が出来るのかを考えるきっかけにしてもらおうと、啓発ビラを作成し、配布しています。
 それから、このような「病院へ行く前に」という冊子を作りました。「コンビニ受診を控えよう」とただ呼びかけるのではなく、子供の状態をしっかり見極め、病院を受診すべきかどうかを判断できる賢い親が増えることを願って、このような冊子を作成しました。これは、柏原病院小児科の先生や、丹波市の保健師さんの監修を受けて作りました。
 私たちの活動がどの程度浸透しているのか、私自身は把握できていませんでしたが、守る会が活動を始めてから、柏原病院の小児科の時間外の受診者数が前の年に比べて最大で4分の1ほどに減ったと、柏原病院のほうから聞きました。またこの4月から、新しく二人の小児科の先生が柏原病院に赴任されました。とても嬉しく思います。しかし、新しく来られたお医者さんが疲れてしまわないように、適切な受診を住民に更に呼びかけていかなければならないと考えています。
 柏原病院はお医者さんが増えたことで、夜間二次救急の当番日を増やすことを検討しているそうです。お医者さんへ感謝の気持ちを伝えよう、と住民に呼びかけた結果、お医者さんの立場を思いやる人が増えたように思います。
 私たちが活動を進める中で気付いたことは、お医者さんと私たち住民は医療を施すものと受けるものという相対するものではなく、共に力を合わせて地域の医療を造りあげていく、パートナーのようなものでないか、ということです。医療崩壊は小児科だけでなく、いろいろな科で深刻な問題になっています。柏原病院は4年前に43人お医者さんがおられました。しかしこの春には、20人にまで減りました。増えたのは小児科だけで他の科は大学医局の人事によるお医者さんの引き上げが止まりません。私たち住民に出来ることは、今いるお医者さんを大切にし、働きやすい環境を作ることです。
 丹波で働くのも悪くないなと言っていただけるような、医療に理解のある地域作りを進めることだと思っています。私たち守る会は、子育て世代だけでなく、 幅広い年代の人に住民として何が出来るのか、何をすべきかを一緒に考えるよう、これからも活動を進めていきたいと思っております。ご静聴ありがとうございました。

司会
ありがとうございました。それでは最後の提言者、日本看護協会会長の久常様、お願い申し上げます。

 
久常 節子氏
日本看護協会の久常です。よろしくお願いします。
最初に網塚先生、小児病棟の看護職の割合が非常に少ないと、夜勤で、夜には19人から10人の乳児の方を一人の看護職が受け持つという話をなさいました。一般の家庭では健康な子供を1人の母親が見るだけでも大変なことですけれども、病人の赤ちゃんを19人も一人の看護師が見るというのは、家庭にいるよりもずっと、私は安全性が乏しいというふうに思いますけれども、そういう意味で、まず最初に私が申し上げたいのは、日本の医療費の配分についてちょっと申し上げたいと思います。
日本の医療費のパイを増やせ、ということは今日皆さんが仰いました。私 もそれは賛成です。しかし、同時に医療費の配分という事も、もう少し考えないといけないのではないのではないかなぁと、そう意味で十数年前わたくしはよ く、日本の医療は入院期間が長い、そして看護職・医師の配置が少ない、そして薬は沢山、種類をたくさん出す、「多い、少ない、長い」とよく言っておりまし たけれども、先程から言っているように、病院の、あるいは病棟の看護師・医師の配置っていうのが非常に少ない。この問題は、医師の配置あるいは看護師の配 置っていうのは、具体的に、例えばこれ研究で明らかですけれども、受け持ち患者が一人増え、死亡率が7 上がるというふうに言われます。看護師あるいは医師の配置が多くなると、医療効果がよくなって在院日数が短くなるということもいわれます。そのように、医 療の効果あるいは医療事故の多発、そのようなことが看護師、医師の病棟の配置ということと非常に関係するということはもう明らかで、明らかにかかわらず例 えば、看護の配置でいいますと、今度やっと71という看護の配置ができました。しかし、その前は最高で10人の患者さんに1人の配置でした。その10人の配置から、7人の患者さんに一人の配置になるまでに十数年かかっております。そのように、医師・看護師のベッド当たりの配置というのは非常によくなっていかない。しかし、医師・看護師の 配置というのはなかなか上手く進んでいかない、だからそういう意味では医療費の配分っていうことをもう少し、医師の配置、看護師の配置ということに視点を置いた 医療費の配分にしていただきたいな、ということが一つでございます。
そして、例えば看護師の配置を多くすると、71の時でも起こりましたけれども、看護師が足らない、ということでよく騒がれました。本当に日本の看護師が足らないかということでございます。
まず、日本の看護師、特に、臨床で働いている看護職というのは全部で80万にのぼります。その80万の看護職の中で、年間10万の看護職が転職していきます。転職だけではなくて、家庭に入っていく看護職も半分います。だから、80万働いて10万が移るわけですから、例えば5万人が家庭に入っていくとする、これはもうたいへんなことです。何故こんなに10万もの看護職が一つの職場を辞めていくのか。これは先程女医さんの問題が出てまいりました。同じような問題と、重なると思いますけれども、看護職は例えば3交代をしないといけません。つまり、夜勤もあるし準夜もあります。それだけではなくて一般の労働者の月の平均超過勤務の時間が10時間です。公務員や一般の会社の人たちの超過勤務の平均ですね。しかし看護職の超過勤務の平均は14時間40分、つまり15時間ぐらいです。15時間くらいの超過勤務になるわけですね。そういうことを考えますと、一般の労働者、公務員や労働者たちの超過勤務より1.5 多いということになります。つまり、女性で、子供を育てながら結婚をして、働き続けようとしたらとてもできない。超過勤務があり、夜勤があり、そして更に 緊張する現場でございますし、ちょっとしたことで医療事故に結びつきます。そういう時に仕事を続けることはたいへん難しいです。そういうことに対しまし て、今厚生労働省が音頭をとって短時間正職員制度というものを推進しようとしております。ぜひ、ここにはたくさんの病院の経営者の方おられると思いますけ れども、医療の世界、他の一般企業ではこういうことがだいぶ進んでおりますが、病院、一般病院の中で看護職、看護職だけじゃなくて医師にとってもの短時間 正職員制度というものを推進していっていただきたいなと思います。
もう一つありますけれども、ここでお終いにします。
 
司会
はい、どうもありがとうございました。9人の提言者の皆様方から、それぞれの医療現場での現状、そしてご提言をいただきました。

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